土地や建物の購入時には、不動産取得税が発生します。
住宅を購入する場合、土地と建物の両方に税金がかかります。
不動産取得税の計算方法は原則として(固定資産税評価額×4%)です。
たとえば、住宅の固定資産税評価額が合計3000万円の場合、税額が120万円ほどになります。
ただし、不動産取得税には軽減措置があり、条件次第では税額を大幅に減らすことができます。
目次
固定資産税評価額とは?
固定資産税とは、不動産を所有していると毎年発生する税金です。
税額は、各市区町村が設定した固定資産税評価額を基に算出されます。
一般的に、固定資産税評価額は不動産価格の約70%程度で設定されています。
たとえば、住宅価格が4000万円の場合、評価額は2,800万円程度になるでしょう。
不動産取得税は、住宅価格ではなく、この評価額に基づいて計算されます。
不動産取得税の軽減措置
住宅を取得した場合の軽減税率
不動産取得税は原則4%ですが、住宅の取得に対しては特例として3%の軽減税率が適用されます。
なお、この特例の適用は2027年(令和9年)3月31日までとなっています。
参考元:国土交通省「不動産取得に係る特例措置」
新築住宅を取得した場合の軽減措置
新築住宅の建物部分には、1200万円の控除が適用されます。
計算式は(建物の固定資産税評価額-1,200万円 x 3%)になります。
そのため、最大で36万円分(1,200万円 x 3%)軽減できるということです。
なお、新築住宅の軽減措置を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 取得者の居住用住宅であること
- 住宅の延べ床面積が50㎡以上、240㎡以下
さらに、長期優良住宅の認定を受けると、控除額が1,300万円に増えます。
中古住宅を取得した場合の軽減措置
中古住宅の建物部分に関しては、新築時の控除額が適用されます。
新築時ごとの控除額は以下の通りです。
新築時 | 控除額 |
1997年4月1日以降 | 1200万円 |
1989年4月1日~1997年3月31日 | 1000万円 |
1985年7月1日~1989年3月31日 | 450万円 |
1981年7月1日~1985年6月30日 | 420万円 |
1976年1月1日~1981年6月30日 | 350万円 |
1973年1月1日~1975年12月31日 | 230万円 |
1964年1月1日~1972年12月31日 | 150万円 |
1954年7月1日~1963年12月31日 | 100万円 |
たとえば、購入した中古住宅の新築時が1989年4月1日の場合、1000万円の控除を受けられます。
もし、この中古住宅の建物部分の固定資産税評価額が1500万円だとすると、
(1500万円 - 1000万円)x 3% = 15万円
が不動産取得税額になります。
なお、軽減措置を受けるための要件は以下の通りです。
- 取得者の居住用住宅であること
- 住宅の延べ床面積が50㎡以上、240㎡以下
- 新耐震基準に適合している住宅
- 1981年1月1日以降に新築された住宅は自動的に適合しているとみなされる
- 1981年1月1日以前に新築された住宅は、専門家に新耐震基準に適合していることを証明してもらう必要がある
参考:東京都主税局
土地を取得した場合の軽減措置
土地の不動産取得税額は(((土地の固定資産税評価額 x 1/2) x 3%) - 軽減額)で算出します。
軽減額は以下のうち高い方が適用されます。
- 45,000円
- (土地1㎡あたりの固定資産税評価額 x 1/2) x 住宅の課税床面積の2倍(上限200㎡) x 3%
- 上記マーカー部分の1/2と3%の軽減措置は、2027年3月31日までに取得した土地が対象です。
なお、軽減措置の適用条件は、新築と中古住宅で異なるので、それぞれ見ていきましょう。
新築の場合
以下のいずれかに該当する必要があります。
- 土地を取得してから3年以内にその土地の上に住宅を新築すること。および、住宅が新築されるまで、その土地を所有していること。
- 住宅を新築する前に取得した土地を譲渡した場合、土地取得から3年以内に譲渡した相手がその土地の上に住宅を新築していること。
- 住宅を新築した人が、新築してから1年以内にその土地を取得していること。
中古住宅の場合
- 土地を取得後1年以内にその土地に建っている中古住宅を取得した場合。
- 中古住宅の取得後1年以内に、その土地を取得した場合。
不動産取得税の計算例:実際の計算を見てみよう!
それでは実際に新築を購入した場合を想定して、不動産取得税を計算してみましょう。
新築の情報は以下の通りです。
- 取得額:3000万円
- 土地面積:100㎡
- 建物の延べ床面積:80㎡
建物部分と土地の固定資産税評価額は以下の通りです。
- 建物部分:取得額2000万円:固定資産税評価額:1400万円
- 土地部分:取得額1000万円:固定資産税評価額:700万円
不動産取得税の計算方法は(固定資産税評価額 x 3%)なので、
- 建物部分:1400万円 x 3% = 42万円
- 土地部分:700万円 x 3% = 21万円
となり、合計の63万円が不動産取得税額になります。
これが軽減措置を適用すると、
- 建物部分:(1400万円 - 1200万円)x 3% = 6万円
- 土地部分:(700万円 x 1/2) x 3% - 16万8千円(軽減額) = 0円
- 軽減額の計算式:(土地1㎡あたりの固定資産税評価額 x 1/2) x 住宅の床面積の2倍(上限200㎡) x 3%
- 土地1㎡あたりの固定資産税評価額=700万円 / 100㎡ = 7万円
- 住宅の床面積の2倍=160㎡
- 軽減額:7万円 x 1/2 x 160㎡ x 3% = 16万8千円
したがって、合計6万円が軽減措置後の不動産取得税額になります。
不動産取得税納付の流れ
不動産を取得したら、各都道府県の税事務所に申告をします(同時に軽減措置の申請も可能)。
申告期限は都道府県によって異なりますが、おおよそ30日~60日以内が一般的です。
申告後、4~6ヵ月ほどで納税通知書がとどきますので、内容に従って納税すれば完了です。
なお、軽減措置の具体的な適用方法や必要書類は、各都道府県によって異なる場合があります。
詳細な情報や手続きについては、必ずお住まいの都道府県の公式ホームページや税務事務所にご確認ください。
参考元URL:
軽減措置は5年以内に還付請求できる
不動産取得税を納付した際に、軽減措置を申告しなかったとしても、5年以内であれば還付請求することができます。
各都道府県の公式ホームページで「不動産取得税還付申請書」を入手し、必要事項を記載して提出すれば完了です。
なお、具体的な申請方法や必要書類は、各都道府県によって異なる場合があります。
詳しくは、お住いの都道府県の公式ホームページや税事務所でご確認ください。
まとめ
不動産取得税は、軽減措置を適用すると大幅に減額できる場合があります。
不動産を取得した際には、軽減措置が適用できるか必ず確認しましょう。
申請方法や適用条件がわからない場合は、お住いの管轄税事務所に問い合わせることをおすすめします。
多少面倒かもしれませんが、節税効果が高いので必ず申請しましょう。
また、不動産取得税納付時に軽減措置をしていなかったとしても、5年以内であれば還付請求できますので、覚えておきましょう。