「事業の経営が悪くなり、当座しのぎの運転資金が必要になった」
「子供が私立の大学に行くことになり、高い学費を工面しなければならなくなった」
不動産担保ローンは、上記のような緊急で資金が必要になった際に役立つ手段です。
しかし、初めて利用する方にとっては、不安や疑問がつきものですよね?
そこで本記事では、不動産担保ローンの基本情報とメリット・デメリットをわかりやすく解説しています。
不動産担保ローンを検討中だけど利用するのが不安という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
不動産担保ローンとは?
不動産担保ローンとは、自宅や土地などの不動産を担保にしてお金を借りるサービスです。
担保とは、お金が返せなくなった際に、貸主に差し出す物のことです。
そのため、不動産担保ローンの返済ができなくなると、不動産を失ってしまうリスクがあります。
不動産担保ローンのメリット・デメリット
メリット
低金利
不動産担保ローンは、他のローンに比べて低金利で借りられます。
なぜなら、不動産を担保として提供するため、貸し手側の回収リスクが低くなるからです。
たとえば、無担保のカードローンの場合、金利が最大18%程度ですが、不動産担保ローンであれば、高くても9%くらいです。
大きな資金調達が可能
不動産担保ローンは、担保とする不動産の評価額を基に借入可能額を決めます。
そのため評価額次第では、数百万円~数億円の資金調達が可能です。
ただし、一般的には不動産評価額の7割程度が借入可能額の目安と言われています。
たとえば、評価額が1000万円の不動産の場合、700万円程度が借入可能額の目安となるでしょう。
ゆとりをもって返済できる
返済期間が長いため、月々の返済額が少なく済みます。
一般的に、30~35年ほどのところが多く、カードローンに比べるとはるかに長いです。
たとえば、金利3%で1000万円借りて30年で返済する場合、月々の返済額が42,160円で済みます(参考:東京スター銀行)。
そのため、不動産担保ローンはゆとりをもった返済計画を立てることができます。
デメリット
不動産を失うリスクがある
不動産を担保にしているので、返済不能になると不動産を差し出すことになります。
たとえば、自宅を担保にしている場合、住む場所を失ってしまうという大きなリスクがあります。
返済期限や借入可能額は大きいですが、その分慎重に返済計画を立てましょう。
万が一返済が難しくなった場合は、なるべく早く金融機関に相談し、対策を講じることが重要です。
手数料が高い
不動産担保ローンは契約時に
- 事務手数料
- 登記費用
- 印紙税
などが発生します。
事務手数料
事務手数料は2%程度が相場です。
たとえば、1000万円借りると、20万円ほど事務手数料がかかります。
中には、定額のところもあり、借入額が大きい場合は定額制のほうが安くなることがあります。
詳しくは、不動産担保ローンの比較サイトで確認しましょう。
登録費用
金融機関は不動産を担保にお金を貸す際に、抵当権を法務局に登録します。
抵当権とは、貸したお金が返済不能になった場合に、担保とした不動産を差し押さえる権利のことです。
抵当権の登録には、登録免許税という税金がかかります。
税率は原則として0.4%なので、1000万円借りた場合、登録免許税は4万円ほどかかります。
さらに、登録する際には司法書士への依頼料(相場:3万円~10万円)も必要です。
印紙税
不動産担保ローンの契約書には、印紙を貼る必要があります。
印紙代は、契約額によって異なります。
契約金額 | 税率 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 |
融資までに時間がかかる
金融機関は貸主の信用情報や返済能力などの審査をするのはもちろん、担保物件の価値評価も行います。
そのため、不動産担保ローンは融資までに時間がかかるのが一般的です。
目安としては、早くても数日から数週間はかかるでしょう。
今すぐお金を借りたい方は、審査が早いカードローンやキャッシングを検討してみてください。
不動産担保ローンの選び方
不動産担保ローンは主に、
- 金融機関
- 金利率
- 金利タイプ
から選びます。
金融機関の種類
金融機関は「銀行系」と「ノンバンク系」に分けられます
銀行系(都市・地方銀行、信用金庫など)は比較的金利が低めですが、審査が厳しいのが一般的です。
ノンバンク系とは、銀行以外の金融機関(消費者金融、リース会社、クレジットカード会社など)を指します。
ノンバンク系の方が、比較的に金利が高めですが、審査に通りやすいと言われています。
金利率
不動産担保ローンの金利率は、約1%~9%程度が相場です。
一般的に銀行系の方が金利は低いことが多いですが、ノンバンク系の中にも低金利のところがあります。
たとえば、アサックスはノンバンク系でありながら、年利1.95%~6.9%と低めです。
そのため、最初から銀行系に絞らず、ノンバンク系も選択肢に入れておくと良いでしょう。
金利タイプ
金利タイプには「固定金利」と「変動金利」があります。
変動金利は返済期間中に金利が上がるリスクがありますが、一般的に金利が低めです。
固定金利は返済まで金利が一定のため、返済額増加リスクがありませんが、一般的に金利が高めです。
中には、アサックスのように低金利でありながら、固定金利制を採用している金融機関もあります。
不動産担保ローンを申請するときの流れ
不動産担保ローンを申請するときの一般的な流れは、以下の通りです。
- 申し込み
- 仮審査
- 本申込
- 本審査
- 契約
- 融資実行
申し込み
金融機関のホームページもしくは、電話で申し込みをします。
住所・氏名・その他借入状況・担保不動産の情報などを提供します。
仮審査
金融機関は申し込み内容を基に、仮審査を行います。
借入が可能かどうかや、借入可能額の概算がわかります。
本申込
仮審査を通過したら、本申込を行い、必要書類を提出します。
主な必要書類は以下の通りです。
- 本人確認書(運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)
- 住民票
- 収入証明書(確定申告書など)
- 担保不動産の登記簿謄本
- 固定資産税納付書
- 借入残高証明書(住宅ローン・カードローンなどその他の借入)
金融機関によっては上記の書類以外も必要になる場合があるので、担当者に確認しましょう。
本審査
本審査では、担保物件の評価・勤続年数・年収・借入状況・信用情報などを調査します。
そのため、数週間程度かかるのが一般的です。
契約・融資実行
本審査を通過し、契約を完了すると融資が実行されます。
契約時に必要な書類は、主に以下の通りです。
- 実印・印鑑登録証明書
- 銀行届出印
- 登録済権利証(登記識別情報)
よくある質問
Q1.住宅ローンが残っていても使えますか?
住宅ローンが残っていても、不動産担保ローンを使える場合があります。
ただし、不動産の評価額から住宅ローンの残高を引いた分が担保価値になり、この部分に基づいて借入可能額が決まります。
たとえば、不動産評価額が3000万円で住宅ローン残高が1000万円の場合、差額の2000万円が担保価値として認められます。
そのため、住宅ローンが残っていたとしても、諦めずに一度金融機関に相談してみましょう。
Q2.返済不能になったらどうなりますか?
担保としている不動産を売却して、売却金を返済に充てることになります。
返済の見通しが厳しくなったら早めに金融機関に相談しましょう。
金融機関の同意を得て任意売却をすれば、競売にかけるより高く売却できる可能性があります。
Q3.他者が所有する不動産でも担保にできる?
金融機関によっては、他人名義の不動産でも担保にできる場合があります。
ただし、一般的には「配偶者」「両親」「兄弟」など、近親が対象となるようです。
契約する際には、所有者の同意や連帯保証が必要になります。
Q4.使用用途に制限はありますか?
一般的には、使用用途に制限はありません。
事業資金・教育資金・ローンの借り換え・リフォーム料など様々な用途に利用できます。
ただし、一部の金融機関では使用用途に制限が設けられている場合があるため、事前にご確認ください。
まとめ
本記事では、不動産担保ローンの基本情報とメリット・デメリットを紹介してきました。
不動産担保ローンは、比較的低金利で大きな資金を調達できるのがメリットです。
一方で、返済不能になった場合に担保にした不動産を失うリスクがあるのがデメリットです。
なお、金融機関を選ぶ際には、無料相談を利用して、自分のローン金利がどのくらいになるかを確認しましょう。
金融機関によって金利が異なりますし、融資内容によっても金利が変わります。
そのため、銀行系・ノンバンク系に関係なく、自分にとって好条件のローンを選ぶことが重要です。
各金融機関の金利や条件を比較し、納得のいく不動産担保ローンを見つけてください。